あなたにも分かるかもしれない材料力学 第002講

モーメントって何?

第001講で何の説明もなしに,


\LARGE M:モーメント


って書いてしまったんですが,この,“モーメント”っていったいなんざんしょ?

日本の歌舞伎の演目“暫(しばらく)”は Just A Moment という英題がついたそうです.これは“短い時間”という意味の moment ですね......ボケになってない.

Wikiを見るとこんな風に書いてあります.


力学において、原点 O から点 P へ向かう位置ベクトル \vec{r} と、点 P におけるベクトル量 \vec{A} との外積(ベクトル積) \vec{r} \times \vec{A} を、O 点まわりの \vec{A} のモーメントという。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88


何のことやらさっぱりです.モーメントの定義を追求することがここでの本質ではないので,私なりの理解を書いておきます.


力×長さで決まるもの.


定義としてはまったく使いものになりませんが,だいぶ分かりやすいでしょう.
で,新連載(http://d.hatena.ne.jp/hwl_usui/20100519/1274292430)で書いた以下の図.

これは,左端が固定されている長さlの梁の先端にWの荷重をかけた状態を表しています.
このとき,固定端からxの点の曲げモーメントx


\LARGE M=-W\left(l-x\right)


となります.Wの前に負の符号がついているのが気になるのですが,よくよく教科書を読んでみると,

本書では断面のモーメントMは,それが作用している要素を下に凸に曲げるように作用する向きをを正とする

っと書いてありました.物理って毎度符号に迷うんですよねぇ.

そうすると,上式のモーメントは,固定端x=0では大きさの絶対値が最大-lWになり,端点x=lでゼロになります.モーメントは腕相撲で腕が長い人が強いような,シーソーで軽くても外側に座れば重い人とも釣り合うような,そんな量です.

.....分かるかもしれない.


出典:材料力学 新機械工学シリーズ 朝倉書店