スピンアウトはなぜ起こる?
スラロームに科学を.浜ウ研代表usuiです.
スピンアウトっていう現象は強風でスラロームをやる方ならご存知かと思います.フィンが抜けるといわれるあの現象です.スピンアウト中のテイルの状態を見たことがある方はご存知かと思いますが,ボードのテイルの裏のフィンの風上側に空気を巻き込んでいますよね?あの空気はどこから入ってきたんでしょう?
液体の流体力学のお話に“キャビテーション”っていうのがあります.液体は絶対圧力がその温度に対応する飽和蒸気圧以下になると沸騰の現象を起こし,蒸気で満たされた無数の空洞ができます.また液体には一般に圧力に比例した量の気体が溶け込んでいるので,圧力が下がると溶け込んでいた気体が析出し,分離して気泡となります.これにより生じる空洞をキャビテーションといいます.
フィンが抜けるメカニズムは,フィン周りに低圧部が生じ,そこにキャビテーションができ,ボードのテイルの外側まで達すると空気を巻き込みスピンアウトするということになります.
スピンアウトする状況は,高速で上るときとチョップの山に当てたときなどでしょうか?これはフィンに対して迎え角を与えたことと同じになります.フィン周りの流れが乱れやすくなり低圧部が生じやすいのです.
スピンアウトを起こさないようにするには,
・急激にボードの向きを変えない
・変なチョップを踏まない
ということになります.
おまけの話になりますが,よく高速で走ると“ピー”って鳴るフィンがありますよね?あれはフィン後端の低圧部で発生したキャビテーションが通常の圧力の場所に達したときに気泡がつぶれる音です.この現象が起きるフィンがよいフィンか悪いフィンかというのは私の中では解答が出ています.浜ウ研のフィンは60km/hを超えても一切鳴りません.