レイノルズ数って何?その2

もうちょっとレイノルズ数の解説を.

流れの話の中で層流,乱流という言葉があります.流体の流れの中で,各部分が秩序正しく層をなしている流れを層流(laminar flow)といい,流速の時間的変動が著しいような流れを乱流(turbulent flow)といいます.水道から水を出すときに,少し出したときは水は透明ですが,蛇口を開き水を多く出すと白く濁りますよね.前者が層流で後者が乱流です.

イギリスの物理学者・技術者オズボーン・レイノルズは1883年に管内の層流,乱流について最初の明確な実験を行いました.ガラス管内を流れる水に着色液を注入して管内部を観察すると,着色液は管内の流速が小さい間は線状となって秩序よく流れ(層流),ある流速を超えると急に乱れて拡散し,乱流となっていることを示しました.このことからレイノルズ数を見出しました.

さて,このレイノルズ数の使い方なのですが,流れの相似則というものに使えます.幾何学的に相似である二つの系において,レイノルズ数が等しければ流れの状態も力学的に相似である,というのが流れの相似則です.

飛行機の翼の風洞試験を行う際にはこの相似則を用いてレイノルズ数を一致させるそうです.レイノルズ数の式を見ると,大きさ(代表長さd)を小さくする場合はその分密度(ro)を大きくすればよいということになります.密度を大きくするには,圧力を高くすればよいということになります.

フィンを水槽(風洞ではない)で実験する場合はどうでしょう?解析したい速度域はやっぱりプレーニングしているときですよね.プレーニングし始めからスピードトライアルまでと考えると時速30km/h〜100km/hでしょうか.仮に実験設備で出せる最大流速が10km/hだったとします.水の密度を変えるのは難しいですよね.すると,代表長さ,つまりフィンの大きさを3〜10倍にしてやれば,とりあえずレイノルズ数は一致するはずです.3〜10倍の大きさのフィンを作るのか.....う〜ん,難儀ですね.いや,まて,粘性係数がいじれるか?温度を上げると水の粘性係数は変わるので,解析したい温度をだいたい20℃ぐらいとすると,60℃ぐらいにするば粘性係数が半分になる.やった.頑張れば実験可能な範囲に収まりそうだ.でも,水槽の温度って調整できるのかな?

まだ調査と実験計画が不十分ですが水槽実験,いつかやってみたいですね.