豚汁

作ってみました.

私の祖母はこの豚汁のことをずっと“ぶたじる”とよんでいました.しかし,周りの若い人間はかならず“とんじる”と読んでいて,いつの間にか私も“とんじる”派になっていました.これはどっちが正しいのだろう?作っていて,ふと疑問に思ったのです.そう,ほんとうにふとです.

Webで辞書を引いてみると,


とん‐じる【豚汁】
「ぶたじる」に同じ。

ぶた‐じる【豚汁】
ぶた肉のこま切れと野菜とを入れた味噌仕立ての汁。とんじる。


とあります.どうやら,“ぶたじる”が正式名称で,“とんじる”は通称として広まり一般的に使われるようになったと私は解釈しています.私の祖母のほうが正しい日本語を使っていたようです.

そもそも,漢字二字の単語があった場合,両方とも音読み,もしくは両方とも訓読みにするのが一般的です.この一般的な例から外れる読み方で,前の文字を音読み,後の文字を訓読みにするものを,“重箱読み”.逆に,前の文字を訓読み,後の文字を音読みするものは“湯桶読み”と言います.

その観点からみても,“ぶたじる”は訓読み同士,“とんじる”は重箱読みになるわけです.

話は変わるのですが,滋賀県米原市に行く機会があったのですが,この米原市,“まいばらし”って読みます.当時,東海地区に来て間もなかったので,この読み方を知らず,“よねはらし”と読んだところ,とある方にひどく笑われたことがありました.

この一件に関して,別段私は不快と思ったわけではなかったのです.ただ,東海地区に関して白紙状態の私がこの地名を“よねはらし”と読んだことには,両方とも訓読みで読むというそれなりの理由があったわけです.その方の後学のためというおごった気持ちがあったわけでもなかったのですが,そのことを短く説明したところ,説明の仕方が悪かったのか,その方の不興を買ってしまったようでした.

私が間違えて読んだのを思いっきり笑ってしまった手前,その理由の理路整然とした説明に対して,理解しながらも受け入れ難かったのかもしれません.

人というのは難しいですね.

理系なことばかり書いているSamadhi-Labにしては珍しい国語の話題でした.